98年度〜再月刊化。
2005/03/28 Mon 15:43
第四回は二年の隔週刊を経て再度月刊としてスタートした98年度です。
ガンガンは隔週で大幅に売上を落としたといわれています。恐らくは一号あたり300〜320円×月二回でそれまでの月380〜390円からかなり割高になったこと、そして作家の掲載ページ数が増えて多少ながら質が落ちた事が上げられると思います。
ガンガンは隔週で大幅に売上を落としたといわれています。恐らくは一号あたり300〜320円×月二回でそれまでの月380〜390円からかなり割高になったこと、そして作家の掲載ページ数が増えて多少ながら質が落ちた事が上げられると思います。
そういえば今月と来月、ガンガン380円のキャンペーンをやってますが、これって10年前の値段なんですね。「10年前のお値段です」竿竹?(笑)
かくして再度月刊化したガンガン。1000ページに届くくらいに分厚くなったのもこの頃です。隔週の二冊を一冊分にした訳ですからこれくらいのボリュームになってしまった訳です。
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箱田真紀画集「R3 R:Cubism 箱田真紀 Illustration Works」
この時期、ガンガンWINGもそれまでの季刊から隔月刊での刊行に。新創刊第一号の表紙は箱田真紀の「クロスボーン探偵団」。ちょっと表紙が少女漫画誌っぽくなったのもこの頃からです。創刊号には名作ZMANの世界観を受け継いだ読切「ZENO」を西川秀明が掲載していました。
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常習盗賊改め方ひなぎく見参! 1 新装版 (1)
同時に「まもって守護月天!」の桜野みねねによる「常習盗賊改め方 ひなぎく見参!」、「PON!とキマイラ」の浅野りんによる「パンゲア」がスタート。ガンガンWINGの柱となりますが、これらの三作品の作者は3年後に突如姿を消すことになります。
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悪魔狩り 7 ~寂滅の聖頌歌篇~ (7)
WINGの98年の人気作では本誌から移籍してきた「悪魔狩り〜冠翼の聖天使編」、淡い作風で人気となった藤野もやむの「まいんどりーむ」、久保聡美の「陽炎ノスタルジア」がありました。これらの作家もまた姿を消すことになるわけですが・・・。
ゲーム面ではスターオーシャンシリーズの続編「スターオーシャンセカンドストーリー」をリリース。筆者はハマリまくりました。この他、エニックスとしては異色の実写AVG「ユーラシアエクスプレス殺人事件」もありました。その頃売出し中のアイドル(榎本加奈子、中島礼香、新山千春など)を起用したミステリー作品です。
本誌ガンガンでは、新創刊4月号より続編の発売に先駆けてスターオーシャン1を漫画化した「スターオーシャン-そして時の彼方へ-」をかぢばあたるが連載。半年の連載でしたがエニックスのゲームコミックでは屈指の纏まりの良さを見せた作品です。
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EREMENTAR GERAD 8 (8)
同じく4月号では現在「EREMETAR GERAD」をブレイドで連載中の東まゆみの初の本格連載作「GET!」がスタート。サッカー漫画でしたが最後はいきなりワールドカップの試合前という絵に描いたような打ち切りでした。ただ、打ち切られた直後の98年11月号から「スターオーシャンセカンドストーリー」の漫画化作品を東まゆみが手がけているのでその為にムリヤリ終わらせたのかもしれません。
たかなし霧香による「ワルサースルー」も4月号よりスタート。ギャグ漫画としては二年以上の長期連載となり、ポッチンという有る意味人気なキャラを生み出しました。
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マジナル
7月号ではその圧倒的な画力で話題を呼んだMINAMOが「水辺の物語」という読切でデビューします。トーンを一切使わないという拘りとジブリ風の画風は確かに凄いものでした。その後、パワードで連載をした「だいらくまさひこ」はMINAMOの別HNです。
9月号からは「幕末風来伝 斬郎汰」の喜名朝飛の新作「Noesis〜ノエシス〜」が始まりましたが5話で打ち切りという短さで終わりました。ですが一応コミックスは出ているようです。
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PEACE MAKER鐵 5 (5)
翌年1月号には後に「PEACEMAKER鐵」で人気を呼ぶ黒乃奈々絵のデビュー読切「ワガママ天使の育て方」が掲載されました。良い作品でした。「新撰組異聞PEACEMAKER」6巻に収録されています。この年の読切は面白い作品がたくさんありましたね。
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魔探偵ロキRAGNAROK 5 (5)
2月号では暫くガンガンの中心となる作品「魔探偵ロキ」がスタート。最初はちゃんと推理漫画をしていましたが何時の間にか北欧神話漫画になっていました。一度作者の木下さくらさんとはメールの交換をしたことがあるのですが、「トリックは自分で全部考えていた」そうで、やはり途中で考えるのが辛くなってしまたのかもしれません。
3月号からは「た・ま・ご」で第6回エニックス21世紀マンガ大賞の準大賞を受賞したしっちーしちだによる「風追い人」が連載開始。あまり人気が無かったのかすぐに終わってしまいました。
この年でガンガンで面白かった企画は天野こずえによる読切シリーズ。後に短編集「空の謳」として纏められています。どれも良い作品なので読んでみて下さい。
アニメ化作品もこの年は多かったですね。いわゆるガンガンの燃え→萌えへの路線変更と読者層の変化を呼んだ「まもって守護月天!」がアニメ化。久々のガンガンでのヒット作となりました。
同時にガンガン初期から連載されている作品「突撃!パッパラ隊」がアニメ化。休みの朝という時間帯の放映が印象的でした。
さて、再月刊して1年。守護月天のアニメ化によって少年ガンガンは活気を取り戻すと共に「同人ガンガン」と揶揄される路線へと変更していく事になります。次回は99年です。
【この頃の他の作品】
■短短
「宇宙人パナパナ」でガンガンに不条理ギャグの風を吹き込んだ極山裕の二作目テーマは「ショートショート」。数ページの単発作品が毎月1〜2作掲載されていました。ぷりん帝国と共にこの辺りまでのガンガンのショートギャグは良策揃いでしたね。
■ANGEL VOICE
「空の謳」収録の天野こずえの読みきり作品です。この年4回にわたって掲載された読切シリーズの中で一番好きなのがこの作品。「終わらない放課後」をテーマとしていた浪漫倶楽部の雰囲気を感じさせる作品で学園モノです。
ストーリーはこちらのサイトに詳しく掲載されています。声優を主題にした漫画って割と珍しいので印象に残っていますね。
■取り返し屋世存
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DRAGON DRIVE 11 (11)
第8回エニックス21世紀マンガ大賞で準大賞を受賞した佐倉ケンイチの作品。楊枝一本で何でも分解する能力を持った少年・世存の話。
名前に聞き覚えがある方も多いと思います。それもそのはず、アニメ化もされた「ドラゴンドライブ」の作者です。実はガンガンデビューだったんですね。ガンガンから他に行って成功した人といえば「エイケン」の松山せいじもいますが、逃した魚は大きかった気がします。
ちなみにこれが準大賞を受賞したのと同じ時に「清村くんと杉小路くん」であの土塚理弘が準大賞を受賞しています。
■水滸武闘伝
準大賞を受賞してから1年、いせだいちけんによるガンガンWINGで連載された作品です。受賞当初はイモっぽかった絵柄も手馴れ、バトル作品ながら読みやすい作品でした。ラスボスの武器が巨大ケン玉というのにはぶっ飛んだ覚えが。
しかしこれを最後にアンソロ以外ではすっかり消えてしまいます。良い漫画家だと思ったんですが残念です。
■LIFE:ERRORS
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ジンキ・エクステンド 〈青盤〉
後にジンキで人気となる綱島志朗の連載デビュー作がこちら。ガンガンWINGで連載されました。
第1話でいきなり主人公・ミアが刺されて死にます。そしてゾンビになります(笑)最終回では「憎しみに勝つにはより強い憎しみ」という名言を残すなどあらゆる意味で衝撃的だった作品です。ジンキファンの方はそのルーツをたどる意味で是非見ておいて欲しい作品です。
かくして再度月刊化したガンガン。1000ページに届くくらいに分厚くなったのもこの頃です。隔週の二冊を一冊分にした訳ですからこれくらいのボリュームになってしまった訳です。
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箱田真紀画集「R3 R:Cubism 箱田真紀 Illustration Works」
この時期、ガンガンWINGもそれまでの季刊から隔月刊での刊行に。新創刊第一号の表紙は箱田真紀の「クロスボーン探偵団」。ちょっと表紙が少女漫画誌っぽくなったのもこの頃からです。創刊号には名作ZMANの世界観を受け継いだ読切「ZENO」を西川秀明が掲載していました。
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常習盗賊改め方ひなぎく見参! 1 新装版 (1)
同時に「まもって守護月天!」の桜野みねねによる「常習盗賊改め方 ひなぎく見参!」、「PON!とキマイラ」の浅野りんによる「パンゲア」がスタート。ガンガンWINGの柱となりますが、これらの三作品の作者は3年後に突如姿を消すことになります。
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悪魔狩り 7 ~寂滅の聖頌歌篇~ (7)
WINGの98年の人気作では本誌から移籍してきた「悪魔狩り〜冠翼の聖天使編」、淡い作風で人気となった藤野もやむの「まいんどりーむ」、久保聡美の「陽炎ノスタルジア」がありました。これらの作家もまた姿を消すことになるわけですが・・・。
ゲーム面ではスターオーシャンシリーズの続編「スターオーシャンセカンドストーリー」をリリース。筆者はハマリまくりました。この他、エニックスとしては異色の実写AVG「ユーラシアエクスプレス殺人事件」もありました。その頃売出し中のアイドル(榎本加奈子、中島礼香、新山千春など)を起用したミステリー作品です。
本誌ガンガンでは、新創刊4月号より続編の発売に先駆けてスターオーシャン1を漫画化した「スターオーシャン-そして時の彼方へ-」をかぢばあたるが連載。半年の連載でしたがエニックスのゲームコミックでは屈指の纏まりの良さを見せた作品です。
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EREMENTAR GERAD 8 (8)
同じく4月号では現在「EREMETAR GERAD」をブレイドで連載中の東まゆみの初の本格連載作「GET!」がスタート。サッカー漫画でしたが最後はいきなりワールドカップの試合前という絵に描いたような打ち切りでした。ただ、打ち切られた直後の98年11月号から「スターオーシャンセカンドストーリー」の漫画化作品を東まゆみが手がけているのでその為にムリヤリ終わらせたのかもしれません。
たかなし霧香による「ワルサースルー」も4月号よりスタート。ギャグ漫画としては二年以上の長期連載となり、ポッチンという有る意味人気なキャラを生み出しました。
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マジナル
7月号ではその圧倒的な画力で話題を呼んだMINAMOが「水辺の物語」という読切でデビューします。トーンを一切使わないという拘りとジブリ風の画風は確かに凄いものでした。その後、パワードで連載をした「だいらくまさひこ」はMINAMOの別HNです。
9月号からは「幕末風来伝 斬郎汰」の喜名朝飛の新作「Noesis〜ノエシス〜」が始まりましたが5話で打ち切りという短さで終わりました。ですが一応コミックスは出ているようです。
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PEACE MAKER鐵 5 (5)
翌年1月号には後に「PEACEMAKER鐵」で人気を呼ぶ黒乃奈々絵のデビュー読切「ワガママ天使の育て方」が掲載されました。良い作品でした。「新撰組異聞PEACEMAKER」6巻に収録されています。この年の読切は面白い作品がたくさんありましたね。
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魔探偵ロキRAGNAROK 5 (5)
2月号では暫くガンガンの中心となる作品「魔探偵ロキ」がスタート。最初はちゃんと推理漫画をしていましたが何時の間にか北欧神話漫画になっていました。一度作者の木下さくらさんとはメールの交換をしたことがあるのですが、「トリックは自分で全部考えていた」そうで、やはり途中で考えるのが辛くなってしまたのかもしれません。
3月号からは「た・ま・ご」で第6回エニックス21世紀マンガ大賞の準大賞を受賞したしっちーしちだによる「風追い人」が連載開始。あまり人気が無かったのかすぐに終わってしまいました。
この年でガンガンで面白かった企画は天野こずえによる読切シリーズ。後に短編集「空の謳」として纏められています。どれも良い作品なので読んでみて下さい。
アニメ化作品もこの年は多かったですね。いわゆるガンガンの燃え→萌えへの路線変更と読者層の変化を呼んだ「まもって守護月天!」がアニメ化。久々のガンガンでのヒット作となりました。
同時にガンガン初期から連載されている作品「突撃!パッパラ隊」がアニメ化。休みの朝という時間帯の放映が印象的でした。
さて、再月刊して1年。守護月天のアニメ化によって少年ガンガンは活気を取り戻すと共に「同人ガンガン」と揶揄される路線へと変更していく事になります。次回は99年です。
【この頃の他の作品】
■短短
「宇宙人パナパナ」でガンガンに不条理ギャグの風を吹き込んだ極山裕の二作目テーマは「ショートショート」。数ページの単発作品が毎月1〜2作掲載されていました。ぷりん帝国と共にこの辺りまでのガンガンのショートギャグは良策揃いでしたね。
■ANGEL VOICE
「空の謳」収録の天野こずえの読みきり作品です。この年4回にわたって掲載された読切シリーズの中で一番好きなのがこの作品。「終わらない放課後」をテーマとしていた浪漫倶楽部の雰囲気を感じさせる作品で学園モノです。
ストーリーはこちらのサイトに詳しく掲載されています。声優を主題にした漫画って割と珍しいので印象に残っていますね。
■取り返し屋世存
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DRAGON DRIVE 11 (11)
第8回エニックス21世紀マンガ大賞で準大賞を受賞した佐倉ケンイチの作品。楊枝一本で何でも分解する能力を持った少年・世存の話。
名前に聞き覚えがある方も多いと思います。それもそのはず、アニメ化もされた「ドラゴンドライブ」の作者です。実はガンガンデビューだったんですね。ガンガンから他に行って成功した人といえば「エイケン」の松山せいじもいますが、逃した魚は大きかった気がします。
ちなみにこれが準大賞を受賞したのと同じ時に「清村くんと杉小路くん」であの土塚理弘が準大賞を受賞しています。
■水滸武闘伝
準大賞を受賞してから1年、いせだいちけんによるガンガンWINGで連載された作品です。受賞当初はイモっぽかった絵柄も手馴れ、バトル作品ながら読みやすい作品でした。ラスボスの武器が巨大ケン玉というのにはぶっ飛んだ覚えが。
しかしこれを最後にアンソロ以外ではすっかり消えてしまいます。良い漫画家だと思ったんですが残念です。
■LIFE:ERRORS
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ジンキ・エクステンド 〈青盤〉
後にジンキで人気となる綱島志朗の連載デビュー作がこちら。ガンガンWINGで連載されました。
第1話でいきなり主人公・ミアが刺されて死にます。そしてゾンビになります(笑)最終回では「憎しみに勝つにはより強い憎しみ」という名言を残すなどあらゆる意味で衝撃的だった作品です。ジンキファンの方はそのルーツをたどる意味で是非見ておいて欲しい作品です。